6月6日、第7回経済財政諮問会議にて、政府は「経済財政運営と改革の基本方針」、通称「骨太の方針」の2025年版原案を提示しました。
今回は、その中でも医療分野に焦点を当てて紹介します。
方針のひとつとして、「物価上昇を上回る賃上げの普及・定着」が掲げられており、医療・介護・福祉などの現場で働く人々の処遇改善に力を入れる姿勢が示されました。保険料負担の抑制努力を継続しながら、公定価格の引上げを通じて、医療・介護分野の人材確保と離職の防止を目指します。合わせて、デジタル技術を活用するアドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成も進めていく方針です。
また、少子高齢化と人口減少が本格化する中で、国民皆保険・皆年金制度を次世代へと引き継ぐために、持続可能な社会保障制度の構築が重要視されています。
特に、医療・介護・障害福祉といった分野における処遇改善については、コストカット型からの脱却を明確に打ち出しました。現場で働く幅広い職種の賃上げや経営の安定に直結するよう、物価高の影響を見据えつつ、次期報酬改定など必要な対策を講じるとしています。
このため、2024年度の診療報酬改定による処遇改善や経営状況等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する方針です。
次に、医療DXについても昨年に引き続き推進していくことが明記されています。
マイナ保険証を基本とする仕組みへ、2025年12月の経過措置終了後、円滑に移行する予定です。標準型電子カルテの本格運用についても、2025年度中に具体的な内容を示すとしています。
加えて、病院の情報システムについては、標準仕様を策定し、クラウド技術を活用したシステムを開発・導入していくとして、規制的手法や財政的手法などの必要なインセンティブ措置についても検討していくことが提示されています。また、医薬品や検査の標準マスタの一元管理、予防接種事務のデジタル化、ワクチン副反応疑いの電子報告、予防接種データベースの整備なども進めていくとしています。
そして、中長期的な視点では、医療提供体制の確保も大きなテーマです。
病床数の適正化に加え、かかりつけ医の制度整備、医療と介護の連携、救急医療の確保などが重要視されています。
地域医療構想については、2025年度中に国がガイドラインを策定し、2026年度以降の各都道府県による「新たな地域医療構想」の策定を支援する方針です。
また、医師の地域間や診療科間の偏在問題に対しては、経済的インセンティブや規制的手法を組み合わせ、地域の医療機関同士が支え合う仕組みを含めた「総合的な対策のパッケージ」を順次実施していくとしています。
持続可能な医療提供体制の確保に向けた改革が着実に進められていくと見られます。