医療DX新提言!クラウドネイティブ型に移行し「業界構造の変革」を迫る

2025.06.20 RESCHOニュース

このニュースでは、自民党が取りまとめた医療DX令和ビジョン2030の実現に向けた新たな提言について、その概要を整理します。病院システムのクラウド移行や工程表の見直しなど、医療機関および医療情報システムベンダーに役立つ最新動向を解説します。

  • ・自民党が医療DX令和ビジョン2030の実現に向けた新たな提言を公表
  • ・政府が2025年度を目処にクラウド型病院情報システムの標準仕様を策定
  • ・病院情報システムに政府共通のIT基盤であるガバメントクラウドを活用
  • ・医療情報システム業界におけるベンダーロックインの排除とデータ互換性の確保
  • ・全国医療情報プラットフォームの構築や電子処方箋の普及促進による工程表の実施
  • ・現行の工程表を見直した医療DXの推進に関する工程表2.0の策定

環境変化に伴う医療DX進化への提言

5月27日、自由民主党の社会保障制度調査会とデジタル社会推進本部合同のプロジェクトチームより、「医療DX令和ビジョン2030」の実現に向けた提言が取りまとめられました。
「医療DX令和ビジョン」は、2022年に初めて提言され、2023年には政府により「医療DXの推進に関する工程表」が策定されました。以降、この工程表に基づいて、医療DXの推進に向けた取り組みが進められてきました。
近年では、物価や人件費の上昇に加えて、生成AIといった新たな技術が進展するなど、医療を取り巻く環境に大きな変化が生じています。今回の提言は、そうした状況変化を踏まえて、医療DXをさらに進化させる必要がある、として行われてきた議論を取りまとめたものです。

クラウド・ネイティブシステムへの移行と業界の構造変革

今回の提言では、まず、医療DXの新たな取り組みとして、「クラウド・ネイティブなシステムへの移行促進」が掲げられました。
病院の情報システムについて、これまで主流であった高コスト構造のオンプレミス型システムから、クラウド・ネイティブ型システムへと移行する方針を打ち出しました。政府は2025年度を目処に標準仕様を策定し、民間のベンダー各社にその仕様に準拠した製品の開発を促す方針です。
標準仕様の策定にあたっては、ベンダーロックインを排除し、ベンダーの変更時のデータ移行が円滑に行えるよう、データの互換性を確保することや、外部からさまざまなアプリケーションを接続できるようAPIの標準規格を定めるべきとしています。また、医療分野は準公共分野であることから、システムにはガバメントクラウドを活用すべきだと提案しています。
クラウド・ネイティブ型への移行によって、システム費用の上昇を抑え、サイバーセキュリティ対策を強化するとともに、生成AIなどの新技術の活用促進を目指すとしています。こうした取り組みを通じて、医療情報システム業界の構造変革を図る必要がある、とも示されています。
さらに、医薬品・検査等の標準コード・マスタを整備・管理し、広く公開する体制を構築すべきとも付け加えられています。

工程表の着実な実施に向けた主要施策

次に、工程表の着実な実施に向けた取り組みとしては、全国医療情報プラットフォームの構築、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXなどが明記されています。
電子処方箋の普及促進に向けて新たな目標設定を行うこと、電子カルテ情報共有サービスの普及計画を策定すること、標準型電子カルテを医療機関に導入するための支援策を具体化すること、などが挙げられています。

工程表2.0の策定と骨太方針2025への反映

そして、これらの取り組みの進捗状況や、新たな取り組みがあることを踏まえて、現在の工程表の見直しを行い、「医療DXの推進に関する工程表2.0」を策定すべきであるとしています。

今回の提言は、医療DXの進化にとどまらず、医療情報システム業界の構造変革にまで言及した、インパクトのある内容になっています。さらに、今回の提言の内容は、6月13日に閣議決定された骨太方針2025にも反映されています。
なお、レスコが運営するYouTubeチャンネル「医療情報カフェ」では、今回の提言をテーマとした座談会動画を公開中です。電子カルテメーカーと医療ITコンサルタントの視点から、提言の意義について議論を交わしています。概要欄に動画のリンクを設置していますので、ぜひご視聴ください。