電子カルテ導入100%へ 標準仕様策定とクラウド移行を本格化

2025.12.18 RESCHOニュース

このニュースでは、医療機関における電子カルテ普及と情報共有サービス開始のロードマップについて、導入要件やコスト課題の解決策などの論点を整理します。2030年までの電子カルテ導入率100%実現を目指す全国の医療機関やIT担当者に役立つ情報を解説します。

  • ・2030年までに全国すべての医療機関で電子カルテ導入率100%を目指す政府方針
  • ・電子カルテ情報共有サービスは2026年度冬頃を目処に全国運用を開始する予定
  • ・厚生労働省は標準仕様に準拠した電子カルテを対象とする認証制度を想定
  • ・2026年度中に完成を目指す標準型電子カルテはクリック主体のシンプルな画面設計
  • ・低コスト化に向け従来のオンプレミス型から廉価なクラウドネイティブ型へ移行する方針
  • ・民間事業者による標準仕様準拠製品の開発にはガバメントクラウドの活用を検討

電子カルテ情報共有サービスの全国運用スケジュールと対象データ

12月10日、医療等情報利活用ワーキンググループにて、電子カルテ情報共有サービスと、電子カルテの普及が議題となりました。

電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関で電子カルテ情報を閲覧できるようにするサービスです。現時点で想定されている取り扱い情報は、臨床情報である検査、感染症などの《6情報》と、診療情報提供書、退院時サマリ、健診結果報告書の《3文書》となっています。
現在は、全国10か所にて、モデル事業が実施されています。
モデル事業では、臨床情報《6情報》の登録から検証が開始されています。モデル事業で発生した課題解消に努めながら、今後は《3文書》の実証を行う予定で準備が進められています。
検証後、2026年度の冬頃を目処に、全国での運用を開始する予定としています。

2030年導入率100%への法改正と医療機関の課題

続いて、電子カルテの普及拡大についての議論が進められています。
これまで、「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において電子カルテの導入を目指す」こととされていましたが、2025年12月に可決された医療法等の一部を改正する法律案においても、2030年までに導入率100%を実現するという内容が記述されました。
しかしながら、ITに不慣れであることや、導入費用などが課題となって、電子カルテの導入は不可能だとする医療機関の声も見られます。
こうした課題も踏まえながら、電子カルテを普及させていく方向性が検討されています。

標準仕様に準拠したクラウドネイティブ型への移行と開発方針

まず、コストの問題については、個別カスタマイズによって高コスト構造となった従来のオンプレミス型電子カルテから、廉価なクラウドネイティブ型への移行を図る方針です。
また、クラウドネイティブであると同時に、標準仕様に準拠した電子カルテを普及促進する狙いです。標準仕様は、2025年度中に策定予定となっています。2026年度から民間事業者がその標準仕様に準拠した製品を開発することを想定しており、その際、ガバメントクラウドを活用することが検討されています。
標準仕様の策定にあたっては、協議会が設置され、現在議論が進められています。

電子カルテ標準仕様の具体的な要件と認証制度

検討されている標準仕様の項目は、次のとおりです。
まず、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋サービスに接続できること。次に、ガバメントクラウドへの対応が可能となる、モダンな技術を活用したクラウドネイティブ型電子カルテであること。例としては、複数の医療機関 で共同利用できるマルチテナント型や、マネージドサービスが利用できることなどが挙げられています。
そして、外部接続にあたって標準APIを搭載していること。
さらに、データ引き継ぎが可能な互換性を確保するため、データ出力・取込のフォーマット・レイアウトを規定すること、となっています。
そのほか、医薬品や検査等の標準コード・マスタに対応していることや、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠していることなどが含まれています。
これらの標準仕様について、今後は厚生労働省等が、標準仕様に準拠していることを認証する制度が想定されています。
なお、2026年度中に完成を目指している標準型電子カルテでは、クリック操作を主とする感覚的に使いやすいシンプルな画面設計がコンセプトとされており、電子カルテ導入のハードルである操作の難しさに対応しようとしていると見られます。