このニュースでは、厚生労働省が公表した電子カルテおよびレセプトコンピュータの標準仕様書案について整理します。2030年までの電子カルテ導入率100%維持を目指す医療機関やシステムベンダーを対象に、クラウドネイティブ化やセキュリティ等の具体的な要件を解説します。
2月24日、厚生労働省は電子カルテ・レセプトコンピュータの標準仕様書案を公表し、パブリックコメントの募集を開始しました。
電子カルテの標準仕様については、以前より厚生労働省・デジタル庁の主導で議論が進められてきました。
「医療DX令和ビジョン2030」にて、2030年までに概ねすべての医療機関での電子カルテ導入を目指す方針が示されていたところ、2025年末に可決された医療法等の一部改正により、2030年までに電子カルテの導入率100%を目指すことが政府に対して義務付けられることになりました。
2030年までの目標達成に向けて、電子カルテはクラウドネイティブを基本とする廉価なシステムへの移行が方針とされています。
デジタル庁は2025年より、「病院情報システム等の刷新に向けた協議会」を発足させています。協議会は、電子カルテや医事会計の主要機能に関する検討を行う「分科会A」、部門システムとの連携に関する検討を行う「分科会B」、そして、生成AI等の新たなサービスとの連携に関する検討を行う「分科会C」にて、それぞれ議論が行われています。
今回の標準仕様書は、このうち分科会Aの範囲である、電子カルテやレセコンの基本機能に関する内容となっており、医科診療所向けと中小病院向けの2種が公表されています。
ここでは、電子カルテの標準仕様書案について簡単に紹介します。
仕様書案には、主に次の要件が示されています。
1.機能要件
「機能要件」には、オンライン資格確認システムや、電子処方箋管理サービス、電子カルテ情報共有サービス、共通算定モジュールを前提としたクラウド型レセコンとの接続など、国の各種医療DXサービスとの接続が要件として設けられています。
2.非機能要件
「非機能要件」には、稼働率99.9%以上の可用性や、セキュリティ要件、データ保管、バックアップ環境の整備などが要件として盛り込まれています。中でも、セキュリティに関しては、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)、もしくはISMS認証の取得が求められること、などが挙げられています。セキュリティの一部要件は、電子カルテがガバメントクラウドを利用している場合、適合しているものとみなされる点が特徴です。
3.アーキテクチャ
「アーキテクチャ」には、パブリッククラウド環境での稼働や、SaaS型、マルチテナント方式などの要件が記載されています。アーキテクチャに関しても、ガバメントクラウドを利用している場合には、要件に適合しているとみなされます。
これまで重ねられてきた議論の内容が仕様書案に盛り込まれており、とりわけガバメントクラウド対応が標準仕様における重要な位置づけとなっていると見られます。
標準仕様書案に対するパブリックコメントの募集期間は、3月23日までとなっています。