認証電子カルテとは?標準仕様のポイントと、ベンダーに確認すべき4つのこと【レスコ座談会まとめ】

2026.10.09 特別企画

厚生労働省の令和9年度予算概算要求では、医療DXの推進に934億円が計上されました。そのうち約604億円が、「標準仕様に準拠した電子カルテ(クラウドネイティブ型)=認証電子カルテ」の普及支援等に充てられています。国が目標とする電子カルテ導入率100%に向けて、電子カルテの選び方そのものが大きく変わろうとしています。

本記事では、レスコの座談会動画(全4回)の内容をもとに、「認証電子カルテ」「標準仕様」とは何か、医療機関が電子カルテを検討する際にどこを見ればよいかを整理します。詳しい解説は、各回の動画でご覧ください。

座談会動画(全4回)で詳しく見る

第1回:電カル普及に大規模予算要求 その施策内容を紐解く

第2回:標準仕様を読む 〜クラウド間連携・クラウドネイティブ〜

第3回:標準仕様を読む 〜部門システムや業務効率化アプリとの接続〜

第4回:認証制度 ベンダーに聞くべき4つのポイント

認証電子カルテとは?

認証電子カルテとは、国が定める電子カルテの「標準仕様」に準拠した製品として、国の認証制度で認められた電子カルテです。座談会では、認証の要件を次の2点に整理しています。

(1)標準仕様に準拠した電子カルテであること
(2)デジタル庁のガバメントクラウド利用に関する事前相談を受けていること

この2つを満たす作りとは、具体的には次のようなものです。

・クラウド型で、複数の病院が同じ仕組みを使う「マルチテナント」であること
・病院ごとの作り込み(個別カスタマイズ)はせず、違いは設定で吸収すること
・パッチ適用などを、すべての病院に一斉に反映できること
・ガバメントクラウド上で動かせること

2026年3月に1.0版が発出された「標準仕様」は、電子カルテの機能そのものを細かく決めるものではありません。全国医療情報プラットフォームなどの医療DXサービス群、クラウド型レセプトコンピュータ、共通算定モジュールといった、電子カルテが「つながる相手」との接続を中心に定めている点が特徴です。

座談会動画の要点

【第1回】国の予算と制度の動き
概算要求にて示されている普及支援を受ける条件は、標準仕様に準拠した電子カルテの導入です。オンプレミス型からのデータ移行費用の一部支援も盛り込まれています。そのほか、大病院向けのクラウドネイティブ型システムの開発支援、サイバーセキュリティ対策、データ連携の整備、AI利活用なども並びます。診療報酬加算の施設基準にも、厚生労働省が認証する電子カルテを有していることが示されており、病院経営に直結するテーマです。

【第2回】クラウド間連携・クラウドネイティブ
電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスなど、全国医療情報プラットフォームとのクラウド間連携が、標準仕様に盛り込まれています。診療報酬改定への対応を平準化する共通算定モジュールもその一つです。アーキテクチャの項目は推奨ではなく、すべて準拠が求められ、病院ごとの個別カスタマイズはしない方向です。座談会では、共同利用のクラウド型を「マンション」にたとえています。更新を基盤側で一斉に適用できるため、サイバー攻撃が高度化するなかでのセキュリティ面の利点もあります。

【第3回】二要素認証・部門システム・AI
二要素認証は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」でも重視されており、電子カルテだけでなく院内システム全体が対象です。部門システムとは、API接続を標準化する方向です。国は2027年度末までに標準インターフェースを定め、2028年度以降の製品への実装を目指しています。標準APIにより、病院が選んだAIサービスなどを電子カルテにつなぐ構想も示されました。

【第4回】データ移行・標準コード、認証制度
業務データの移行と原本の保管は別々の視点で検討する必要があります。移行に必要な情報の開示は、標準仕様1.0版で規定されています。病院独自の「ハウスコード」から標準コード・マスタへの変換には人的ミスのリスクがあり、同じコードで運用できることが理想とされています。

国が審査する認証制度は、毎年更新が求められます。標準仕様は版を重ねるごとに見直され、現在は推奨とされている要件も、段階的に必須要件へ格上げされていく見通しです。一度認証を取れば終わりではなく、継続的な対応力がベンダーに求められます。

電子カルテの検討時、ベンダーに確認すべき4つのポイント

座談会では、電子カルテのベンダーに聞くべきことを、次の4つに整理しました。

(1)国のプラットフォームへの接続
(2)部門システムとの接続とデータ移行
(3)標準コード・マスタの扱いとハウスコードからの移行計画
(4)認証取得の方針

「できる」「できない」を口頭ではなく文書で確認することが、後悔しない電子カルテ選びにつながります。

まとめ

認証電子カルテは、補助金や診療報酬加算の入り口となり、これからの電子カルテ選びの基準になっていきます。重要なのは、クラウドかどうかという形式ではなく、標準仕様にどこまで対応し、今後の改版や医療DXサービスの拡充にどう追随していくかです。

 

※本記事は、2026年9月時点の座談会の内容をもとにしており、登壇者の解釈を含みます。最新の情報は、厚生労働省などの公表資料をご確認ください。

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