9月9日、厚生労働省は「電子カルテ普及計画」を公表しました。
このチャンネルでも複数回にわたって紹介しているように、国は電子カルテ普及に向けた動きを活発化させています。
電子カルテ普及の目的は、患者に質の高い医療を提供するための情報連携基盤を構築することであり、同時に、創薬や医療機器開発などのライフサイエンスのデータを創出する情報基盤を構築することです。
情報連携に関しては、すでにオンライン資格確認システムを活用した薬剤情報や手術・診療情報が利用されていますが、今後は電子カルテ情報共有サービス等を普及させ、順次必要な医療情報連携の体制を充実させていく狙いです。
こうした情報基盤の構築に向けて、国は2030年までに概ねすべての医療機関に電子カルテを導入するという目標を掲げています。特に、情報基盤という目的を踏まえ、クラウドネイティブ型電子カルテへの移行を目指し、セキュリティや接続要件等をまとめた標準仕様書が作成されています。
電子カルテの普及施策は、資料にまとめられています。
クラウドネイティブ型への刷新を柱として、まずは「標準仕様に準拠した製品の認証制度の創設」と「認証電子カルテ製品の普及支援」が挙げられています。標準仕様は、情報基盤への安全かつ適切な接続を図る上で必要な、クラウドネイティブ型やセキュリティ対策などを要件として定めたものであり、この仕様に準拠している製品を国が認証する制度が設けられます。増して、この認証された電子カルテをより普及させていくために、導入にかかる費用を一部負担したり、供給力を強化するために地域提供ベンダーを確保したりといった施策が検討されています。
一方で、クラウドネイティブ型が普及するまでの経過的な対応も見込まれています。
例えば、国が開発している診療所向けの「標準型電子カルテ・導入版」は引き続き推進される方針です。また、パッケージ版電子カルテ製品への普及支援も行っていく予定とされていますが、医療DXサービスへの対応やセキュリティ対策、ノン・カスタマイズでの導入が前提とされています。
こうした施策を進めていくにあたり、厚生労働省は令和9年度の予算概算要求にて、関連予算を計上しています。特に、認証されたクラウドネイティブ型電子カルテの普及支援として、336億円が計上されています。
概算要求のため、2026年9月の現時点では確定したものではありませんが、普及計画が定められたことからも、確実な予算確保のもと施策が推進されると見込まれます。