最近は医療業界でも大きな動きが続いていますが、昨日、電子カルテの標準仕様に関する説明会が開催されました。いよいよ国による電子カルテの「標準仕様準拠認定制度」が動き出します。
以前お話しされていた取り組みですね。それにしても、想像以上のスピード感で制度化が進んでいますね。具体的にはどのような仕組みなのでしょうか?
これまでの電子カルテは、システムごとに使用する用語やデータの接続方式(規格)がバラバラでした。そのため病院間でデータを連携させようとしても、スムーズに接続できないという課題があったのです。そこで国が統一ルール(標準仕様)を定め、その基準に適合したシステムかどうかを厚生労働省やデジタル庁が審査して認証する仕組みがスタートします。
規格が標準化されれば非常に便利になりますが、これまでは異なるシステム同士でどのように情報をやり取りしていたのですか?
これまではシステム間でデータを紐付けるため、いわば「翻訳表」をシステム内に個別に作成して管理していました。しかし、新薬の登場や医療行為の変更のたびに人の手で翻訳表を修正する必要があり、膨大な手間と修正ミスのリスクが付きまとっていたのです。また接続規格がバラバラなため、病院ごとに高額な接続対応費用が発生する要因にもなっていました。
メーカーごとに仕様が異なる状態から統一言語・共通規格へ移行するのは、システム構築としても相当大きな変化になりそうですね。
例えるなら、従来の電子カルテは「一戸建ての注文住宅」のように個別にセキュリティ対策を施している状態でした。医療データは極めて機微な個人情報ですから厳重な警備が必要ですが、個別のシステムでそれを実現しようとすると非常に費用がかかります。
一戸建てだと、セキュリティコストをすべて自前で負担しなければならないのですね。
それをクラウド上の安全なデータセンターを活用した「マンション型」に転換しようというのが今回のルールの方向性です。共用部分の設備や防犯体制を共同利用することで、高度なセキュリティを確保しながらコストを抑えることができます。
マンションのように安全な共有基盤を利用しつつ、データ連携を実現していくのですね。安全性が確保された上で情報共有が進むと、私たち患者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
現在はマイナンバーカードによるオンライン資格確認などで一部の医療情報が共有されていますが、従来のレセプト(診療報酬請求)データを元にしているため、情報共有に2ヶ月ほどのタイムラグがありました。今後医療DXの基盤整備が進むと、直前に受診した他科の処方内容などもリアルタイムで確認できるようになります。重複検査や不要な処方を防ぐことができ、医療の質の向上と安全確保につながります。
受診のたびに同じ説明を繰り返さずに済み、スムーズに質の高い診察が受けられるのは患者にとっても安心ですね。一方で、大切な情報を取り扱うからこそ十分なセキュリティ管理が前提になりますね。
国の厳しいセキュリティ要件をクリアしたシステムのみが接続を認められます。電子カルテを単なる院内ツールから、社会インフラ(電気・ガス・水道等)のような公共の基盤へ進化させていく試みと言えます。
災害時のカルテ閲覧・復旧対策なども含め、これからの医療現場を支える基盤として普及していくことが期待されますね。
DPAT(災害派遣精神医療チーム)の現場などからも非常時の閲覧環境整備に関するご意見をいただいており、災害対策も重要な課題です。私たち電子カルテメーカーとしても万全の体制を整え、認定第1号を目指して迅速に対応を進めてまいります。
厚生労働省およびデジタル庁が主導し、電子カルテシステムが国の定める標準仕様(HL7 FHIR等に基づくデータ交換規格や用語体系)に準拠しているかを審査・認定する制度。
保健・医療・介護の領域において、デジタル技術の活用により情報の共有化や業務の効率化を図り、医療の質の向上や効率的な医療提供体制の構築を目指す取り組み。
自然災害や大規模事件・事故などの発生時に、被災地で精神科医療の提供や精神保健活動を行う専門的な医療チーム。